2018年08月07日

【音楽】Bring The Noise/Public Enemy



“Bass! How low can you go ?
 Death row, what a brother knows
 Once again, back is the incredible
 The rhyme animal
 The uncannable D, Public Enemy Number One
 Five-O said, "Freeze !" and I got numb
 Can I tell 'em that I never really had a gun ?
 But it's the wax that the Terminator X spun”


この出だしのキャッチーさ、鮮烈さは未だ史上最強だと思う。
チャックDの脂ぎったブッ太い声がオールドスクールマナーに則って脚韻を繋いだ時の相乗効果は抜群。
聴く度とにかく痺れるんだ。

PEが始動した1980年代初頭、生まれたばかりのHIP HOPは既に他のどんな表現にも負けないアジテーション能力を備えていました。それ故、黒人社会の外では文字通りの“noise”と見做され、標的たるハイプたちはDJイングやラップ(やブレイキングやタギング)の芸術性を全く認めなかったといいます。
今では信じ難い状況ですが、野戦服を身に纏い、S1Wなる“軍隊”を形成した当時の彼らの試みが(当然ギミックとしての側面を持ちつつも)最高のレベルミュージックを通じた大マジな戦いであったからこそ、これだけ熱のこもったクラシックを創造し得たのでしょうし、そもそも30年以上も前に被差別側へ立ち“Public Enemy”などと声高に名乗ってリリースを重ねていたこと自体、伊達や酔狂では到底真似のできない覚悟を感じさせます。


…されど、盛者必衰。


時代は変わり、合わせて世に出るリリックのテーマも多くが個人主義へと移ろいました。
自ら情報の探究・選択が可能になれば、検閲の向こうへ真実を伝えんとするコンシャスラップが下火になるのは必定で、それはきっと喜ばしい変化なのだけれど、多くのものを背負った怒れる“noise”の奔流はどれだけ年月を経ようとも決して衰えず、僕らヘッズを興奮へと誘い続けるのです。
posted by ムラカミハジメ at 01:56| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする